雨月春風
雨月春風<序章>
冷たい風と暑い日差しとが、交互にあるいは混ざり合って、冬から夏へと過ぎ行く間に春という穏やかな時期が在る事を、つい忘れてしまいそうになるのが、若者の特権でのある。
青春の淡い恋から、情熱の愛の嵐へ飛び込もうとしているのに、情緒も何もない。
二十歳を過ぎても子供のままで、友人と政治批判や、国がやらねばならぬ叙事交々を討論仕合時間を潰す。論文にして投稿するか、自費出版するかして、世に出せば良いものを、ただ友人と討論し、相手を負かすだけで満足する毎日。春休みは、アルバイトと観るか観ないか再び議論と交わし、映画館の前で、数時間時間を潰し帰宅するのだ。「なんともつまらない」と考える余地はなかった。議論して、友人を負かすことは、頭の回転を良くし、しゃべるときの舌使いを滑らかにする。早く喋り、頭の中の知識を相手に伝える練習は、物語を書く者たちにはひとつの理想といえた。
実家の前の田舎の風景。熊本のアーケード街の薄暗い日差し。慣れきった彼等、彼女等は前期の講義がまだ始まらないでくれと心で叫び、始まれば抵抗する気もなく、講義を聴きに大学へ足を向ける。
未来を見つめる者等は、常に自分自答を繰り返し、新しい真実の知識を身に付け様としている。飢えた狼みたいに、知識を身に付けるのだ。
木村信太もそれに漏れない学生だった。体育系ではない。文科系でもない。工学部土木工学科だった。
冷たい風と暑い日差しとが、交互にあるいは混ざり合って、冬から夏へと過ぎ行く間に春という穏やかな時期が在る事を、つい忘れてしまいそうになるのが、若者の特権でのある。
青春の淡い恋から、情熱の愛の嵐へ飛び込もうとしているのに、情緒も何もない。
二十歳を過ぎても子供のままで、友人と政治批判や、国がやらねばならぬ叙事交々を討論仕合時間を潰す。論文にして投稿するか、自費出版するかして、世に出せば良いものを、ただ友人と討論し、相手を負かすだけで満足する毎日。春休みは、アルバイトと観るか観ないか再び議論と交わし、映画館の前で、数時間時間を潰し帰宅するのだ。「なんともつまらない」と考える余地はなかった。議論して、友人を負かすことは、頭の回転を良くし、しゃべるときの舌使いを滑らかにする。早く喋り、頭の中の知識を相手に伝える練習は、物語を書く者たちにはひとつの理想といえた。
実家の前の田舎の風景。熊本のアーケード街の薄暗い日差し。慣れきった彼等、彼女等は前期の講義がまだ始まらないでくれと心で叫び、始まれば抵抗する気もなく、講義を聴きに大学へ足を向ける。
未来を見つめる者等は、常に自分自答を繰り返し、新しい真実の知識を身に付け様としている。飢えた狼みたいに、知識を身に付けるのだ。
木村信太もそれに漏れない学生だった。体育系ではない。文科系でもない。工学部土木工学科だった。


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